質問①日々繰り返すやきものづくりにどう向き合っていますか?-作山窯の場合-

 第三回の相談所では仕事への姿勢と器の使い方についての二つのご質問に各窯代表がお話します。まず一つ目はH.I様からのご質問

(質問①)「産業としてのやきものづくりでは、多くの人が関わりながら、工程を分担して仕事をされていると思います。そうすると、おひとりおひとりの仕事は、ともすればルーティーン的に、ある区切られた作業をくりかえし突き詰めていくような側面もあるのではと想像します。日々繰り返される仕事に、どういった心持ちで向かっていますか?どのようにして目の前の仕事に集中し、また一方で仕事をよりよくできるように意識を向けられていますか?」

‐作山窯 高井社長の場合‐

作山窯 高井社長(以下 高井):やっぱり好きになれるかどうかだと思う。だから自分で自分の気持ちコントロールするしかないよね。この質問者の方は窯元の工程知ってるみたいだけど、どこかの窯元の人かな。

匿名の質問のシステムなので、どなたからというのは分からないですが、もしそうだったら窯元の経営者としての高井社長のお話も伺えたらと思いますが、ちなみに作山窯を始めたころはどんな心境だったんですか?‐

高井:できればやりたくなかったね(笑)。今でもさぼりたいと思ってるから(笑)。まあ確かに怠けることは楽だけど、仕事っていずれにしてもやらないといけない事だから、であればきちんとやった方がいいよね。同じ時間使うならね。もし経営者が怠けるような人だったら、その下で働くスタッフの子たちが可哀そうだと思う。うちだったら現場の子が聞いたら悲しくなると思う。もし、この方が経営者だったらちょっと甘いとに思うね。

確かにモチベーションは下がりますね。高井社長はスタッフの前ではそういう面を見せず、仕事をする姿でスタッフに伝えているんですね。‐

高井:そうですね。誰だって100%好きな仕事なんかあるわけないんだから、モチベーション保つのは大変だし、そのままでは崩れてく。それはどんな仕事しててもあることじゃない。やりたい仕事であってもつらければ逃げたくもなるし。好きだからやりたい人もいれば、生活のため、家族のためにやらないといけない人もいて、いろんな立場で仕事してるわけだから。だからこそ特に経営者はスタッフの前で悩んでても口にしてはいけないと思ってる。

これは高井社長の経営者としての信念ですね。‐

高井:信念というか、せっかく縁があって働いてくれてるのだから、その人たちを大事にしないといけないと思っています。わざわざ言わないけど心の中ではそう思っているかな。

作山窯さんの製品って土もの独特の窯変の味わいがあって、ちょうど良い幅で収めるのが難しいですよね。その幅の意識は高井社長とスタッフとでは差がありますか?‐

高井:全然あるよ。だからそこは口うるさく言うよ。お金もらっている以上はプロだからね。幅はあるからしょうがないけど、製品の芯はブレないようにしないとね。

スタッフにその想いの通り伝わるものですか?‐

高井社長:思い通りにはならないと思う。経営者は経営者、スタッフはスタッフだから。立場も違えば背負っているものも違うし、社員の中でもポジションによって違って、同じ人っていうのは絶対いないと思うから思い通りになるとは考えてない。でも、できるだけ想いの共有はしたいと思っている。だから作山窯として大切にしたい方向性だけはきちんと伝えるけどね。そうするとそれが共有できる人が自然と残っていくんです。

スタッフは大事だけど、だからと言って作山窯として大切な製品の芯をブラしてまでスタッフに合わせないね。合わせてたら作山窯じゃなくなっちゃうから。(2021年9月3日掲載)⇒次回、第三回うつわやきもの相談所-深山編-に続く*9月10日掲載予定(毎週金曜掲載)

(取材後記)スタッフとの縁を大切にしながらも、作山窯としてあるべき姿は堅持する。そのために自身の立ち居振る舞いを律する。器を作るという仕事に対して、そして、その経営者としての誠実な考えを伺えました。(深山 柴田)

 

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