NEW質問④「食器?やきもの?の収納は・・・(後編)完結編」

■第四回うつわ、やきもの相談所 -ギャラリーショップMINOの店長重松さんからのご質問-


 ―質問④「食器?やきもの?の収納は・・・(後編)」―(聞き手:MINO 重松店長、語り手:カネコ小兵 伊藤社長、作山窯 高井社長、深山 松崎社長)

「質問④(前編)」からの続き-

深山 松崎社長(以下、深山):窯元の観点で言えば、器を開発する段階で、器同士の積み重ねがきちんとできる事を考えて開発してあるかどうかは大きいと思います。この三つの窯元の器では感じた事ないですけど、たまに店頭で積み重ねがすごく悪い製品を見ることがありますから。

カネコ小兵 伊藤社長(以下 カネコ小兵):積み重ねがきちんとできるかどうかは、使い手の方には重要な基準だなとは考えて開発してますからね。

重松さん:そうですね。【どれくらいまで積んだり重ねたりできますか?】はよく聞かれます。

●深山の仕切り皿「パレットプレート」複雑な形だが4枚程度まではスムーズな積み重ねが可能。

深山:うちの製品は形が変わった形や仕切り皿みたいな複雑なものがあるので積み重ねは苦労しますね。このパレットプレートのシリーズは特に複雑*1なので、積み重ねを良くするために何度も裏面の修正を行いましたから。それでも、どうでしょうかね5個積み重ねるくらいが、安心できる限界かなと思いますね。

●パレットプレートの表面(左)と裏面(右)。成形可能な構造の範囲内でハマ(高台)の位置を調整し、積み重ねを可能とした。

カネコ小兵:窯元として積み重ねよく開発する事はもちろんとして、お使い頂く時の積み方も意識して頂けるといいなと思います。きちんと同じ方向で積み重ねて頂ければ安心だけど、例えば斜めに積み重ねてしまうと、すぐ傷つくから。傷つかないって言いたいけど、やきものは割れもので、それをそうじゃないとは言えないですからね。割れる事だけ考えるなら金属やプラスチックの器があるけど、僕らとしては土を素材としているやきものの良さを理解して楽しんでもらいたいから、最低限でよいから注意して優しく取り扱って頂けると嬉しいですよね。そうすれば引き戸の収納でも、開き戸での収納でも、割れたりひびが入ったりは少なくなるような気がします。

作山窯 高井社長(以下 作山窯):そうですね、割れものだと意識して扱ってもらえれば、そうそう割れたりヒビが入る事は無いと思います。

カネコ小兵:そうそう、最近ならすべり止めのシートを敷いて摩擦を強くして動きにくいようにしてもらうのも良いかなと思います。器を選ぶ段階なら、積み重ねた時に“高台で重なる形状”*2aか“腰をフチで支える形状”*2bかをチェックしても良いと思います。器の形によるからどちらが良いとは言えないですが、例えば、背の高い器で下の方のフチで支えて重なるような器は揺れて動き易いから傷はつきやすいかもしれないね。

作山窯スタイル(左)は腰の位置で積み重なり、カネコ小兵ぎやまん陶(右)は高台で積み重なっている。*詳しくは2abの注釈にて

司会:割れづらいという点ではアルミナという強度の強い素材を使った強化磁器がありますが、それでも結局は割れます。焼き物の中でも強い弱いはありますけど、割れるという事においては「この素材」だから大丈夫っていうことはないんですよね。

カネコ小兵:そうだね程度の問題だよね。磁器の方が割れ「にくい」っていうね。

深山:使い手の方にそうしてやきものとして意識してお使い頂くのと同時に、僕たち窯元としても、安心してお使い頂ける器に仕上げる事ももちろん大切ですよね。さっきお話したパレットプレートも、フチがどうしても欠け易かったので、製品化した後に、フチだけ少し丸みをもたせるように修正しましたからね。器としての雰囲気の良さと、道具として安心して使える。僕たち作り手と使い手の皆さんが理解し合えたら、結果的に割れたり欠けたりが減るような気がします。

司会:ありがとうございます。重松さんにご用意頂いた質問は以上の4つになります。いかがでしたか?もし何か追加で聞いておきたいことがあれば

●セラミックパーク美濃のギャラリーショップにて開催された「參窯展」の展示風景。

重松さん:そうですね。まずたくさんお話頂いてありがとうございました。お客さんにご説明できる幅が広がったような気がします。他にだと、今回の企画展にご来場頂いた方からだと、「參窯」についてもご質問はありましたよ。コラボ商品を作りますか?とか、あとは作山窯さんのポップなカラーの食器のイメージが強い方が多いので、その製品はないですか?とかは聞かれますね。

作山窯:隠してありますね(笑)。

司会:こちらで展示頂いている製品はそれぞれの窯元のなかでも「參窯として」それぞれの特徴が伝わるという観点で限定してますからね。それ以外の製品はネットショップなどでもお買い求めいただけますからね。それにそれぞれの窯元でも直接ご覧頂ける機会も作っていますしね。小兵さんも窯や小兵を継続的に行われていますよね。コロナの環境下で開催を控えられていましたが、これからはどうされますか?

●(上)窯や小兵が開催されるカネコ小兵のショールーム。(下)土岐市駄知町にあるsakuzan village。

カネコ小兵:今月はやりましたね。でもこういう状況だから、あまり告知はせず来れる方だけ来てくださいっていう風にやっています。作山窯も土日祝日にsakuzan villageをオープンしてるから、ここの帰りによってもらったりしたらいい。もちろんホームページで見てもらえるのも良いですよね。

深山 松崎社長:うちは・・・イベントは・・・何もないですね(笑)。今のところは。

司会:ありがとうございました。改めて使い手のご意見は考えさせられるなと楽しい時間でした。毎年やりたいですね(笑)。重松さん、是非お客さんの質問で困ったことは残しておいてください(笑)。

●參窯展会場にて。左より、深山の松崎社長、作山窯の高井社長、ギャラリーショップ店長の重松さん、カネコ小兵の伊藤社長。

カネコ小兵:お客さんの何気ない質問が本質をついていることがあるよね。こういうのないの?とかいろいろ意見がある中で我々も作れたり対応できるものがあるかもしれないからどんどん聞きたいよね。2022年6月10日掲載)⇒うつわやきもの相談所「ギャラリーショップMINO店長重松さんからのご質問」は今回で完結です。・・・*次回6月17日掲載予定(毎週金曜掲載


脚注:*1.器の形が複雑だと積み重ねが難しくなる大きな原因は、やきものの厚みに限界があるため。やきものは作ってから焼き上がるまでに10~13%程度小さくなります。やきものの厚みの事を窯元では“肉厚”と呼びますが、肉厚が厚すぎたり、薄いところと厚いところの差が大きすぎたりすると、小さくなる途中でパカっと切れてしまったり、大きく窪んでしまったりします。例えば深山の白磁素材の場合は7ミリ程度が、そうした不良を生じない限界の厚みとなります。そのため、表面の形が決まると、裏面の形もその厚みの範囲内で作る必要があります。積み重なりだけを良くするのであれば、もう少しこの辺りを高くすれば良いとか、この部分を薄くすれば良いと考えられますが、その結果、肉厚が許容範囲外になると他の不良が発生してしまいます。特に画像の仕切り皿のような複雑な形の場合は、その許容範囲も複雑になるため、積み重なりだけを考えて肉厚を決められず難しくなります。更に言えば、これら全てが焼いた後でしか確認できないという事。モデルや原型段階では判断できないため、その確認に時間も要してしまいます。 *2ab.画像左側は作山窯のスタイルシリーズ。右側はカネコ小兵のぎやまん陶シリーズ。積み重なった器同士はスタイルでは “腰をフチで支えて”いますが、ぎやまん陶は“高台で重なっ”ています。単純な積み重ねだけであれば高台で重ねた方がスムーズですが、どう積み重なるかの選択は、重ね易さだけでは留まりません。それは、どのような素材を使っているかも影響します。ぎやまん陶の様に高台で重なると、当然ですが上の器の高台は下の器の盛り面に直接当たります。ぎやまん陶の場合は素材が磁器で滑らかなので直接当たっても問題ありませんが、もし素材が陶器で、特に目の粗い土で合ったら、下の器の盛り面には傷が入る可能性があります。作山窯の特徴はそうした個性的な土を使ってやきものらしい表情を生み出す事で、スタイルシリーズにも黒い目の粗い土が使われています。その為、スタイルシリーズは敢えて上の器の腰部を下の器のフチで支える事で、高台が直接盛り付け面に当たらないようしてあります。器同士がどう重なるかは、こうした素材や釉薬の特性も考慮に入れて決定されます。

●上の器の腰部分を下の器のフチで支える構造のスタイルシリーズ14㎝ボウル


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參窯その2:作山窯(岐阜県土岐市駄知町)http://www.sakuzan.co.jp/

參窯その3:深山(岐阜県瑞浪市稲津町)http://www.miyama-web.co.jp/


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