『使い手と交わる事で育ったカネコ小兵の代表作』

■器:ギヤマン陶シリーズ、■おすすめする人:カネコ小兵製陶所 伊藤社長

‐カネコ小兵製陶所の代表作「ぎやまん陶」についてカネコ小兵製陶所の伊藤社長にお話し伺いました。‐

ぎやまん陶を手元に語るカネコ小兵製陶所の伊藤社長

 現在のカネコ小兵のうつわのポイントは【丈夫でじゃぶじゃぶ洗えるうつわ】です。そのため『素材』は硬度の高い磁器にこだわり日常で気兼ねなくお使い頂ける器にしています。そしてもう一つのこだわりは『釉薬』。かつて日本酒の徳利の生産だけをしていた時は一般的な透明釉しか使っていませんでした。しかし、その後カネコ小兵オリジナルの器を開発する際に釉薬にこだわる事を大切にしました。

 そのきっかけが、このぎやまん陶に使用している漆ブラウン。この色が出来上がるまでに3年かかりました。この色を飴釉と呼ばれることがあります。実際、開発当時でもキャラメル色の様な飴釉は市場にも出回っていましたが、私たちが求めた色はそれとは異なる『漆のような色合い』。

漆ブラウンによる初めてのうつわ「ハス冷酒器」*この器は別記事でご紹介

 この色を出す為、様々な原料を調合して試作を行いました。実は初めての試作では5個テストして3個成功。初回の試作としては上々でした。そのため二度目の試作では100個を焼成しました。するとなんと98個の失敗。この色合いを安定する難しさに直面しました。しかし上手く焼けた器はとても雰囲気が良く理想に近かったため、その後3年かけて、釉薬屋さんと釉薬を、原料屋さんとは土を、そして自社内では焼き方の試行錯誤を繰り返して完成したのが、この「漆ブラウン」です。

 こうした生まれた漆ブラウンは、漆器の様な雰囲気ながら軽く温める程度であればレンジや食洗器にも使える釉薬として仕上がりました。この釉薬を茶器や酒器に施し漆のような風合いの製品を作りましたが、最終的に和食器の伝統的なカタチの『菊型の器』とを掛け合わせるとガラスのような器に仕上がり【ぎやまん陶】が生まれました。

 現在は、最新作の楕円焼物皿を加えて30種弱のラインナップを茄子紺ブルー、利休グリーン、そして2年前につくった墨ブラックの四つの色で展開しています。「茄子紺ブルー」なんかも瑠璃釉のような印象もありますが、それだけでは無くてぎやまんとして風合いと大切に生み出した釉薬です。

茄子紺ブルーの楕円焼物皿*この器は別記事でご紹介。

お皿から鉢、カップなど目移りしてしまう多彩なラインナップはなぜ誕生したのでしょうか?‐

 器の使い方は本当に多様だからね。お皿は、料理によって選べるように1寸(3センチ)刻みでサイズを増やしていきました。最初は使用頻度の高い取皿の4寸皿(12㎝)を作って、そこから展開しています。使い手が直接手に取る窯屋小兵でよく選ばれるのは同じく取皿サイズの4.5寸皿(14㎝)、そしておかず皿となる8寸皿(24㎝)や豆皿サイズの3寸皿(9㎝)ですね。そして、迷われるのは6寸皿(18㎝)7寸皿(21㎝)。朝食のおかず皿やデザート皿のサイズですが、それぞれの家庭でちょうど良いサイズが異なるアイテムだから迷いますね。一番大きな9寸皿(2㎝)はディオールからの要望で作ったけど日本のライフスタイルでは少し大きいね。日本では8寸皿までかな。

迷うアイテム7寸皿(左)と6寸皿(右)。朝食のおかず皿やデザート皿として。

 鉢類も多いね。割烹料理屋さんでも使われるけど、人気なのは丸い浅鉢。サイズでいうといわゆる一人用の盛り鉢となる直径12㎝の浅小鉢と大鉢や菓子鉢となる直径21㎝の七寸鉢鉢はお皿と組み合わせても評判がいいね。鉢もいろんな食事のシーンに合わせられるように展開しています。

 コーヒーカップは元々は作る予定無かったですけど、お客様の要望で開発に至りましたね。でもデザインはカップだけ少し違うんです。開発の時、原型師さんから他のぎやまん陶のお皿のようなレリーフでは面白くないという指摘があって内側の底に花弁がある花の様なデザインにしました。このカップ類だと日常使いの定番アイテム「マグカップ」はやっぱり使い易い。

毎日使うマグカップはやっぱり人気⇒ご購入はコチラから

 僕は売れ筋というものはあまりわからなくてお客さんの要望にどう答えていくかということの方が強いです。

 漆釉が完成したのが2006年。「ぎやまん陶シリーズ」として発表したのは2008年。最初は数アイテムで、その後、購入者が買い増しで「中間のサイズが欲しい」とか「どんぶりはないの」とかご要望を頂いてそのお客さんの反応でラインナップは増えていきましたね。もちろん言われたものをそのまま作る訳では無くて、要望を僕なりに解釈し考えて、原型師さんに相談し制作しますけどね。例えば、4.5寸皿を作った時。元々サイズが近い4寸皿があるんだけど、カップを乗せたときに4.5寸の方が丁度いいっていうことで作っちゃったんですよね(笑)。そういうお客さんの想いと自分の感性を掛け合わせて作っていくんだけどそれがすごく楽しいよ。

‐器単体の美しさだけでなく、ラインナップがある事で色んな暮らしの形が想像できそうですね。‐

 “窯や小兵”に来てくれるお客さんに買い足しが多いのは、「次はこれが欲しい」と思ってくれているお客さんが多いからだと思うんです。だから私も「いっぺんに買わないで、一つだけ買って使ってよかったら別のものも買いに来てね」と話してます。そうしてくりかえし足を運んで頂けているような気がします。

窯や小兵が行われるショールーム

 我々はテーマを決めて器を作るけど、使い手は自由に使われますよね。以前、驚いたのは四角いお皿をあえて裏返して使われていた事。お皿の表裏でさえもとらわれずに使うこんな考え方もあるのかと感心しました。

 色もすごく迷われる方もいて、ご夫婦で意見がぶつかったりして。でもその会話が良いんです(笑)。奥さんは料理好きで旦那さんに良いもの食べさせてあげたいから色にこだわって、その旦那さんとどの色が良いか言い合ってるんです (笑)。

 皆さん、良い悪いじゃなくて自由に器を楽しんでますよね。使い手がそうなのだから、作り手の僕らも楽しまないとだめだと思いました。そうした作り手の想いは器にも出てくるような気がします。そこに使い手の好みが加わったり料理との相性を考えたり、そうした一つ一つの行動で気持ちも暮らしも盛り上がりますよね。

‐そして伊藤社長もどんどん盛り上がる訳ですね‐

 盛り上がるよね。お客さんが来て、話をして、意見をくれて、提案して、体験してもらって・・・そういう楽しさを器が持ってるんだと思っています。ラインナップもお客さんの意見があったらまだまだ増やしたいから、お客さんの意見でピンとくるものがないかと考えながら聞いています。

ぎやまん陶を語り続ける伊藤社長

 そう思うと、カネコ小兵の企業理念である「やきものを通して届けたい【小さな幸せ】」は、そうした関りやコミュニケーションから生まれるかもしれないですね。僕は、器の事だったら国や年代に関わらず話が出来ると思ってます。この地域にある器をつくるための恵まれた資源を活用して器を生み出せた時に「これいいですね」って言ってもらえたらそんな嬉しいことはないよね。(おしまい)


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●ぎやまん陶 マグカップ 茄子紺ブルー

 


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