『參窯(さんかま)のはじまり その①』やきものの今

いよいよ作り手である三つの窯元が自身の言葉や想いをウェブサイトやリアルなイベントを通して使い手に発信する『參窯(さんかま)』プロジェクトが始動致します。

この『三窯行えば、必ずわが師有り。』では、三社の話しを通じて、器やものづくり、地域など作り手の様々をお伝えしていきます。初回となる今回は、カネコ小兵製陶所の伊藤社長、作山窯の高井社長、深山の松崎社長の三社代表から、『參窯(さんかま)』を通して伝えたい事。そして、そもそも、なぜこの三社であり、その意義は?この活動を通して期待していることは?など、何故このプロジェクトに取り組む必要性を感じたのか、その根っこの部分をお話を伺いました。

作り手の想いを発信する『三窯行えば、必ず我が師有り』

はじめに、『それぞれの成り立ちなどのご紹介と現在のものづくりへの想い』から。

カネコ小兵 伊藤社長:カネコ小兵製陶所は1921年、今から約99年前に創業して、昔は神仏具、そして私の父の代は、徳利をやっていたんですね。で、お酒の多様化というか、徳利を使わないお酒が増えて売れなくなって、そういう意味では食器の中で新しい分野に挑戦したいということで今に至っています。

『徳利生産時代のカネコ小兵製陶所』

私どもの会社はその時に一番考えたのは企業理念で、「私たちは焼き物づくりを通して暮らしの中へ小さなしあわせを届け、楽しくて心地よい普段の生活文化を創造します。」ということで、「小さなしあわせを届ける」というのが一つのテーマで、やっぱり焼き物で作ったものを皆さんに使っていただいて、喜んでもらいたい、そこで小さな幸せを積み重ねてほしいという想いでものづくりをしてきました。

『カネコ小兵製陶所 伊藤社長』

『カネコ小兵製陶所 外観』

そういった意味では、深山さんや作山さんは先行していらっしゃったので、今回、三つの窯に、ある意味、共通の理念があるんではないかなと思って。このプロジェクトで3社がそろえばもっともっと伝えることが増えて食器の楽しさや良さを感じていただきたいと思っています。

 

深山 松崎社長:今のお話をお聞きして、カネコ小兵さんに歴史があるなと思ったんですけど。それと対比して我々株式会社深山は1977年創業ですから、この美濃焼の中では新参者に近い部類に入るわけで、当初から鋳込みという技術を使い、洋食器をメインに製造していたもので、そのための素材と、そのための窯のプログラムでやってきたという原点はあります。

『昭和40年代の瑞浪市で作られていた洋食器』

だけど僕らは、産地での流通の変化に伴って、それを契機に自分たちで販売していく練習をしなければいけないということもあって、販売会社も立ち上げたりもしました。そういう意味では、メーカーでありながら少し地場産業の中では異端児に近かったと思います。そういう風にして変遷をしてきました。

『深山 松崎社長』

『深山 製造風景』

それでも今回のこの三社のプロジェクトの、メーカーにスポットライトを向けて、メーカーが自分たちで発信をしようという動きというのは、自分たち一社ではできなかったことでした。この三社が集まったことで、出来るだけいろいろ協調しながら、メーカーからの発信ができるということは、これからいろんなことが起きると思いますが、ものすごく楽しみにしています。

 

作山窯 高井社長:うちの場合は1987年、丁度今年で作山窯を作って33年ぐらいになりますけど、もともとは「山作」という会社があって、そこから僕が引き継いで作山という窯を作ったという形ですね。で、和食器、土ものを製造するメーカーを作りました。引き継いだとはいえ作山窯は全くゼロからのスタートで始めています。

『陶器を素材とした作山窯のうつわ』

家業を継ぐことを決めて、戻ってきて、始めたということですね。はじめは2,3人で始めた小さな窯元で、どちらかというと業務用メインで土ものの器をつくっていました。世の中にとか、そんな想いは全然なくて(笑)、ただ、自分が作りたい作ってみたいものを形にしているだけですね。

『作山窯 高井社長』

『作山窯 施釉(せゆう)工程』

しかし、当然作る以上は使ってもらわないといけない。そのために自分の作ってみたいものをどう表現するかというだけの話ですね。使っていただくことがまず大前提。当然商売だから売れなきゃいけないし、売れるものを開発していかなきゃいけないけど、それよりも大事なことがあるのではないかと僕は思いますね。売れるのは、ものを作ったあとの話。まずは自分たちが作ってみたいものを作り、それが必要とされる市場に伝えています。

 

〉〉〉(その②「三つの窯が集う意味」に続く)

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