(第十話)『ものづくりの現場から~技術について~』 他産地、他素材のものづくりに触れて-日進木工(高山市)‐

『他産地、他素材のものづくりに触れて-日進木工(高山市)‐』(第九話)ものづくりの現場から~素材について~から続く


(第十話)『ものづくりの現場から~技術について~』(語り手:株式会社日進木工 北村社長 聞き手:カネコ小兵 伊藤社長、作山窯 高井社長、深山 松崎社長 司会:深山 柴田)

日進木工 北村社長(以降、日進木工):それでは工場内をご覧頂きます。製造工程を知ったあとに製品をご覧頂くと、また違って感じられると思いますので、工場の後には改めてショールームをご案内します。そして、この製造工程では、「日進木工の4つの技術」*1の内、残りの2つをご紹介します。


工場内製造工程*ここからは画像と文章でそれぞれの工程のポイントをご紹介します。

①木部削り出し工程:テーブルや椅子の脚など細工が必要な木部を削り出す工程。

●一つ一つの木材を確認しながら削りを施す

●『角ホゾ』。ネジや釘でなく、素材同士を組み付けることで強度が生まれ細身でも安心の家具が生まれる。


②曲げ木工程:平面の木材を蒸気で柔らかくし曲面に仕上げる

●状態を確かめながら徐々に木材を曲げていく

●『曲げ木』。木材の強度を保ちながら、うつくしい曲線を生みだす。素材をそのまま使うので無駄が生じない。


③塗装:中空状態で塗装する事でムラの無い仕上がりとなる。

●パーツを吊るしてスプレー塗装する事で塗りムラの無い均質な仕上がりとなる。


 ④組み立て:削りと曲げ木で作り出したパーツを治具に沿って組み立てる。

●組み立ての部材を前にご説明頂く北村社長(左)。その前には曲げ木で作られた部材、その後ろには削り出しで作られた部材。奥に組み立て途中の椅子が見受けられる。

●部材の配置が暗号のように示された治具。「刃注意」や幾多の矢印など、この中に家具作りのポイントが潜んでいる。


⑤縫製・座張り:完成した木枠に沿って布張りを裁断縫製しクッション部を仕上げる。

●クッション材にフィットするようミシンを使い手仕事で仕上げる布地。


⑥耐衝撃テスト:日常での使われ方を想定しその衝撃にどの程度耐えられるか日夜問わず行われる。

●(ウェブサイトより)この試験では60kgの重りを乗せ、 JIS(日本工業規格)のレギュレーションより厳しい、 自社独自の耐衝撃性試験に耐える。 厳しい試験にパスできたものしか製品化しない。 だからこそ、10年もの長い保証期間を設けられる。 それが日進木工のつくる家具。目指すものづくりの姿です。


~ショールームに移動~


 日進木工:一通りの製造工程をご覧頂いてショールームに戻りました。改めて、ここに一つ製品があります。コーラス(CHORUS CHAIR)*2という新しいシリーズですが、この製品が先ほどの『曲げ木技術』をふんだんに展開した製品です。背中や座面、ひじ掛けなど様々な場所を曲げ木技術で多様な角度に変化する三次元曲げをしてます。

●三次元曲線が特徴的なコーラスシリーズ。

 深山 松崎社長:最初に仰っていた通り、言葉だけだと分かりにくい事も、製造工程と重ね合わせると分かり易いですね。

●北村社長(右)の説明に工程を想いおこしながら聞き耳を立てる松崎社長(左)

日進木工:次の製品は、日進木工で最も売れている椅子です。・・・2022年10月7日掲載)⇒第六回座談会「⑪ものづくりの現場から~製品について~」に続く・・・*10月14日掲載予定(毎週金曜掲載)


●脚注:*1.日進木工4つの技術の詳しくは同社ウェブサイト https://www.nissin-mokkou.co.jp/company/approach/traditional_technique にて『木材の選定と適材適所』『乾燥』『曲げ木』『角ホゾ』の4つが紹介されている。 日進木工ではこれら技術を単に自社の得意技術として受け継ぐだけでなくウェブサイトの言葉を借りると1300年前より受け継ぐ「飛騨の匠の技」を飛騨地方の地域資源のとらえ、その蓄積と利活用に力を入れています。日進木工ならではの軽くて丈夫な家具づくりは、こうした地域資源の有効活用、そして機械生産と手しごとのベストミックスにより実現しています。】として受け継いでいる。 *2.CHOROUS(コーラス)シリーズの特設サイトは https://www.nissin-mokkou.co.jp/chorus/ にて。製品に組み込まれた技術や暮らしへの想いが伝わる。


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