(第十一話)『ものづくりの現場から~製品について~』 他産地、他素材のものづくりに触れて-日進木工(高山市)‐

『他産地、他素材のものづくりに触れて-日進木工(高山市)‐』(第十話)ものづくりの現場から~技術について~から続く


(第十一話)『ものづくりの現場から~製品について~』(語り手:株式会社日進木工 北村社長 聞き手:カネコ小兵 伊藤社長、作山窯 高井社長、深山 松崎社長 司会:深山 柴田)

日進木工 北村社長(以降、日進木工):曲げ木によるコーラス(CHORUS CHAIR)シリーズに続いてご紹介するのが、日進木工で一番売れてるこの椅子。ホワイトウッド(WHITE WOOD)*1というシリーズです。

●white woodシリーズ。現代と調和した軽やかな印象。

カネコ小兵 伊藤社長(以降、カネコ小兵):軽いね

日進木工:そうなんです。重量は3.5㎏なので片手で持てますよ。軽い椅子って難しいんです。軽いのに強度を持たさないといけない。こうやって机に椅子をひっかけることもできてお掃除も楽々できます。日進木工の椅子は「軽い」が特徴です。正しくは【軽く強く】*2。この軽さを成立させるのが先ほど工場でご覧頂いた『角ホゾ』の技術です。この製品は開発して15年目くらいのロングセラーになりました。

●木材を削るのは職人の感性と経験。細くとも強く、造形的にも美しい家具は、何世代、何百年と受け継いできた伝統の技の先に生まれてくるのです。(ウェブサイト「軽く、強く」より)

 日進木工:あと座面はカバーリング構造になっているので色を変える事も可能です。

カネコ小兵:布も変えられるんだ。座面はこの2色から選べる訳ですか?

日進木工:約50種類の布・革の中からチョイスできます。見本があるのでそちらから選べますよ。

●軽さと交換可能な布地を説明する北村社長

カネコ小兵:なるほど。軽くて本当良いよね。ちょっと…検討しよ。

深山 松崎社長(以降、深山):ショッピングですね(笑)。こうした製品の開発は、何かテーマをもって進められるのですか?

日進木工:そうですね。それぞれのシリーズにコンセプトがあります。毎年、展示会があるのでそれに向けて新製品を出品します。本当は色々開発したいのですが、生産量や在庫を考えると何かを廃盤にしないと開発できないので、そのジレンマはあります。

深山:輸出もあるという事でしたが、日本と海外では使い方やサイズは異なりませんか?

日進木工:例えばテーブルの高さが違うと言われます。日本のサイズだと低いと・・・。日本だとテーブルの高さは大体70~72cmですが、ヨーロッパだと75cmは必要です。正直、サイズ感が違うとなんともならないんですよね。だから輸出はサイズ感の近いアジア諸国が中心です。

●WhiteWoodシリーズの椅子に座る伊藤社長(左)。テーブルの高さは70㎝。

司会(深山 柴田):やきものでも特にお茶のポットが国や地域によって容量が異なっていて、国内だと300~400cc*3aですが、欧米では1000㏄*3b欲しいって言われます。

日進木工:そんな大きいポット使うんですか?ティーポットでも。

●ポットの生産を得意とする深山の複数のポット。容量によりポットの使い勝手は大きく変わります。

司会:そうなんです。でも不思議な事にカップの容量は国内と同じ80~120㏄で良いんです。一人が飲む回数が違うのか、一緒にお茶をする人数が違うのか…。メーカーにとって製品の種類を増やす事はデメリットもあるので、製品開発は慎重になりますね。

日進木工:そうですね。まずきちんと国内のライフスタイルに対応できるものを製造して、その良い点を、共通点がある国に提案しているというのが輸出の実情です。2022年11月4日掲載)⇒第六回座談会「⑫想いを製品で表わす」に続く・・・*11月18日掲載予定(毎週金曜掲載*次週はお休みです。)


●脚注:1.しっかりとした家具を軽く作る。その象徴となるWHITE WOODシリーズの特設サイト https://www.nissin-mokkou.co.jp/white-wood では、軽さとその背景にある技術。そして暮らしとの調和が表現される。 *2.『毎日つかうものだから。長年つかうものだから。職人はできるかぎり“軽く、強く”を意識する。』ウェブサイトに掲載された日進木工の軽さと強さに対する想い。詳しくはhttps://www.nissin-mokkou.co.jp/light_and_strong にてご覧頂けます。 *3ab.ポットの容量はカップ何杯分のお茶が入るかが基準となる。日本茶の煎茶碗の場合は一杯が80~100㏄程度、紅茶のティーカップだと120~160㏄程度が中心的な容量。画像の国内向けのポットの容量ではカップ1~4杯程度で、友人と二人で一杯ずつ飲める程度だが、海外向けの700~1000㏄あるとカップ8杯程度は入る。画像の700~750㏄のポットは開発当時、アメリカやフランスのお茶専門店からヒアリングをして開発したが、1000㏄のポットは大きすぎて生産が難しいため、どの程度までならライフスタイルに調和するか相談しながら、最低限の容量として設定し開発した経緯がある。


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