(質問②前編)參窯の活動で起きた変化は?‐野口さんと振り返る2021年‐

カネコ小兵にて行った第五回座談会『野口さんと振り返る2021年』*(質問①後編)「この1~2年で好転した事を教えて下さい」から続く


 ―(質問その二)參窯の活動で起きた変化は?(前編)―(司会:野口品物準備室 野口さん、語り手:カネコ小兵 伊藤社長、作山窯 高井社長、深山 松崎社長)

野口品物準備室 野口さん(以下 野口さん):一つ目の質問とすこし重なりますが參窯の活動を一年続けて変わったことはありますか?まさかのコロナ渦始まってすぐのあまり良くないタイミングのスタート*1aではありましたけど、私の周りでは「あれ面白いね」という声をいただきます。このコロナの環境下で展示会や販売イベントなどでは動けないので、今はこのwebの座談会*1bが中心に見えているイメージではありますけど、内容が面白いねって言われますね。これは完全にプロからのご意見で、デザイナーや作り手といった玄人受けですね。想像はしていましたけど、それでいいかなとまずは思っていて、そういう評価は結構頂いています。お三方は続けてみて変わったことはありますでしょうか?

●「伝える」をテーマに座談会をブログでご紹介する「三窯行えば、我が師あり」では過去の座談会のアーカイブもご紹介。

作山窯 高井社長(以下 作山窯):変わったこと?一つに參窯で動くことによって、外からの見方が変わりましたよね。メーカーが自分たちで全て組んで活動しているということで、メーカー自身もそうですが、その外側の商社の視点でいろいろ感じていることはあるんじゃないですかね。具体的に何かが変わったわけでは無いんですけど、これからですよね。これからいろんな取り組みに対して、どう動いていくかということだけですね。

野口さん:これからはリアルに人と出会えるイベントも始まって、人も活動も変わっていくでしょうからね。

●(左)作山窯 高井社長、(右) カネコ小兵製陶所 伊藤社長

カネコ小兵 伊藤社長(以下 カネコ小兵):私の周りでも、この動きに注目されて、參窯って何なの?と言う質問があったり、面白いねって声は聴きます。そのおかげというかその成果というか来週、中小企業団体中央会で「連携」というテーマの講演をすることになっちゃって(笑)。參窯の内容が良いのではないかという事でしゃべってくれって言われて今困ってます(笑)。正直そんなつもりなかったし、ただメーカーがここまで発信していくっていうのは時代が動いているなという感じがしますね。特に個人のお客さん、いわゆるBtoCに対しての伝え方として、それぞれの窯元が個々でやることとは別として、この參窯として三人そろって活動することが「いいことやっているな」っていう感じがする。でも、これが大変で、毎回緊張してます(笑)あと、昨年は4月や11月に出展予定だったイベントも無くなって*2、参加すればもっと具体的な評価はあったと思うけど、イベントが出来なくても、一年間通して続けられたことが良かったと思う。

 具体的に何が良かったかはまだ分からないけど、秋田県で日本酒の蔵元がいくつか集って活動しているというもの見て、そういう「何かが動いているよ」っていうことを世の中に対して発信していくことが大事だと思うんです。特に過去にはあまり陽の当たらなかったメーカーが活動している事をね。

 昔は発信しなくても売る事はできたけど、今はそうじゃない時代だよという気がして、非常にそういう部分に興味あるというか、まだはっきりとした手ごたえは感じられないけど、なんとなく変わった感じがするね。

野口さん:きっとこうした活動は売上を急に上げるための活動でもないので、実感は正直この先もないかもしれないですけど…。

カネコ小兵:いや実感はあるよ。講演の(笑)。「參窯やってらっしゃいますね!ちょっとしゃべってもらっていいですか」とか言われて。

●三窯についてなど語るカネコ小兵 伊藤社長の後援会パンフレット

野口さん:(笑)じわっとにじみ出ていくように知られていくんだと思います。だからまだまだこれからですよね。

深山 松崎社長(以下 深山):もう一年たったか?と良く分からないうちにすぎましたが、うちの柴田からこの話を最初聞いたときは、面白いなと、何かこれ産地に風を起こしそうな期待がありました。座談会の発言では「あんなこと言うんじゃなかったな。」はありましたけど(笑)、実際やってみると何も後悔はないですね。周りの人からは、伊藤社長も高井社長ももちろん先輩なうえに、作山窯さんには独自の考えがあって、小兵さんというか伊藤社長もお話がすごいから、お二方に気おされてしまうんじゃないか、と心配頂いていますが、僕はこの一年、余裕がなかったなと思います。例えば、インスタグラムなどのSNSはほとんどスタッフ任せだったんですが、2社のインスタを「うわあ、こんな発信して」と感心してみるようになりました。ただ2021年は心が忙しなく、余裕もって考えられてないせいもありますが、自分の勉強不足がいかんなって年末になって改めて思います。

野口さん:參窯に係ることで、ご自身の反省というか改善する事が感じられたということですね。

●(左)深山 松崎社長、(右)野口品物準備室 野口さん

カネコ小兵:何が変わったって、「自分が変わった」ということだね。

深山:自分は来年変わろうと・・・。改めて0からのスタートで見るようにしました。まず2社だけでなく色んな窯元のSNSや発信を見るようにしています。2022年1月28日掲載)⇒第5回座談会「(質問その二)參窯の活動で起きた変化は?(後編)」に続く・・・*次回2月4日掲載予定(毎週金曜掲載


●脚注:*1ab.【參窯のはじまりについて】參窯のプロジェクトは2021年1月15日にウェブサイト「參窯ミノウエバナシ」を立ち上げてスタートしました。オウンドメディアであるこのウェブサイトのメインコンテンツが『三窯行えば、必ず我が師あり』。やきものについて、産業について、美濃の地域についてなどを作り手の視点でざっくばらんに語り合う座談会をブログとしてご紹介しています。 *2.【2022年の參窯の活動】參窯の活動はウェブサイトとリアルを連動する予定であり、昨年4月には銀座松屋さんでの「暮らしの商店街」に、11月には地元初の試みであるクラフトフェア「ccc(セラミックバレークラフトキャンプ)」に出展する予定だったが、いずれも新型コロナに起因する緊急事態宣言にともない中止や延長となり1年目はリアルな活動が抑制された。しかし反面、ウェブサイトが充実し、内側の想いを熟成する事も出来た。2022年のはじまりもオミクロン株の影響もあり不安なスタートではあるが、本年こそ熟成した想いをもとに使い手と繋がる機会を生み出してまいります。


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參窯その1:カネコ小兵製陶所(岐阜県土岐市下石町)https://www.ko-hyo.com/

參窯その2:作山窯(岐阜県土岐市駄知町)http://www.sakuzan.co.jp/

參窯その3:深山(岐阜県瑞浪市稲津町)http://www.miyama-web.co.jp/


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