NEW(第五話)『家具の技術で樽を作る』 他産地、他素材のものづくりに触れて-日進木工(高山市)‐

『他産地、他素材のものづくりに触れて-日進木工(高山市)‐』(第四話)新型コロナとウッドショックから続く


(第五話)『家具の技術で樽を作る』(語り手:株式会社日進木工 北村社長 聞き手:カネコ小兵 伊藤社長、作山窯 高井社長、深山 松崎社長 司会:深山 柴田)

日進木工 北村社長(以降、日進木工):弊社も參窯の皆さんも共通しているなと思うのは、安いものを作っても仕方がないから、付加価値を生み出して高いなりにも買って頂くためにどうするかを考えている事だと思うんです。私も社長になってからおこなった事がいくつかあります。

●日進木工の北村社長(左より二人目)の新しいものづくりに視線を落とす參窯のメンバー。その視線の先には・・・

日進木工:まず、一つはソファー製造の強化です。高山の家具は椅子から始まったとお伝えしましたが、その技術をもとに椅子作りは得意でしたが、それだけだとダイニングでの使用が主体になってしまう。そこでリビングにも提案できる家具をという事で、もともとは弱かったソファーのラインでの製造を強化しました。ソファーは椅子と比較すると縫製が多く、座り心地を良くするのも難しいなど、ものづくりのポイントが異なりますが、良い製品が作れれば付加価値は高くなり、販売する単価も向上する。まだまだ作れる数量は少ないですが、会社として売り上げと利益を確保するには必要と考えています。

●製造を強化したソファーラインの製品と、そのソファーの座り心地を確かめるカネコ小兵 伊藤社長。

 日進木工:また、輸出については、2年前から香港人のスタッフに入社してもらい英語と中国語で顧客対応できるのですごく助かってます。ほとんど輸出は任せちゃってて(笑)。そして最近の話題だと4月1日から樽事業を始めたんです。ウイスキー樽とか、ワイン樽とかまずは1年かけて樽の製造を研究していて、いずれはもう一つの柱にしたいなと思っています。

深山 松崎社長(以降、深山):樽ですか・・・確かに樽メーカーと言うのはあまり聞いたことないけど、実際に作ってる企業が少ないんですか?

●樽づくりの転用できるのではと想定している曲げ木の技術とは。

日進木工:そうなんですよ。日本での樽製造は数えるほどです。大手のウイスキーブランドなどは自社に樽を作る部署があるところがありますが、樽を作って売るっていう会社は少ないので入り込む余地があるんじゃないかと思ってます。需要についても、世界的なウイスキーブームもあるし、ワイナリーも長野や山梨などに誕生していて、小さい醸造家とか蒸留所が増えてますよね。この高山でも2か月前に発表されましたが地域の酒蔵さん*1が高山の山間地に「飛騨高山蒸留所」*2を始めるんです。元々は、それがきっかけで樽を作ってみようかなと思ったんです。現実的にも家具も樽も材料は同じものだし、椅子に使う曲げ木の技術があれば樽も作れるんじゃないかと考えてます。

●飛騨高山蒸留所。2023年春始動予定の旧小学校を活用した岐阜県初のウイスキー専門の蒸留所

カネコ小兵 伊藤社長(以降、カネコ小兵):できるなら国産でやりたいとも言ってましたよね。

日進木工:それも付加価値をつけるためなんですけど、高山に出来た蒸留所には、材料に飛騨産のナラを使いたいですし、それが高山で作ったものならなお更良いってことで、オール・メイド・イン・飛騨のウイスキーを作ろうっていう意気込みでやっているんですよ。(飛騨材を使うのは、飛驒高山蒸溜所に提供する一部で、他に提供する大半は家具製造にも使う輸入材がメインになる予定)

カネコ小兵:面白いよね。地産地消というか地元だけにこだわってやってみるのは。

日進木工:そうですね多分できると思ってます。

司会:でも今まで全然ノウハウはないんですよね。

日進木工:うん。未経験です。研究しながらですね。

深山:コストは合うんですか?

日進木工:試算してみたら、何とかなりそうだなって。

●試作の樽を前にその可能性を語るカネコ小兵 伊藤社長(左)と日進木工 北村社長(右)

作山窯 高井社長:ウイスキーブームもあるし、日本でもワインの醸造所が結構あるから、ねらい目かもしれないね。

日進木工:そういう狙いなんですけど、まあ。分からないですね。(笑)ポシャっちゃうかもしれないし。

カネコ小兵:チャレンジは良いことだよ。ウィスキーも飲めるし。(笑)

日進木工:そうなんですよ(笑) 大好きなウイスキーに関わることを商売にできたら、最高ですね!2022年7月29日掲載)⇒第六回座談会「⑥(仮)ブランディングについて」に続く・・・*次週はお休み。次回は8月12日掲載予定(毎週金曜掲載)


●脚注:*1. 岐阜県には46の蔵元が存在し(岐阜県酒造組合連合会ウェブサイト参照)、その数は全国でもトップ10に入る日本酒製造量の多い地域。木曽川、揖斐川、長良川などの清流が県内縦横に流れ豊かな水に恵まれている。そのため蔵元の分布も日進木工のある飛騨地区や參窯のある東濃地区、その他、西濃地区、中濃地区と県内に万遍なく存在し多少な日本酒が楽しめる。 *2.廃校となった小学校を活用し、飛騨山脈からうまれる清流を蓄える高根第二ダム近くで飛騨産ジャパニーズウィスキーの製造を目指す飛騨高山蒸留所。2023年の稼働予定とのこと。


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參窯その2:作山窯(岐阜県土岐市駄知町)http://www.sakuzan.co.jp/

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