(第4話) 美濃焼はなんでもあり?

「美濃で作れないものはない」と聞いたことがあります。

地域ごとに専門的な生産技術が細分化していて、窯元の規模も家族で営むところから、大きな工場までさまざまです。窯元だけではなく、陶土は原料屋、石膏で型を作る型屋、釉薬屋、転写屋(銅版屋)、道具屋など「やきもの」にまつわる職種が集積しているのは、他の産地と同様ですが、あの町では丼が、あの地域は徳利が、また少し離れるとコーヒー碗皿が、地域によって得意な形状、作り方があり、中にはある器の取手だけに特化したところもあるほど、細かくそして広く分布*1しています。これが美濃の大きな特徴ではないでしょうか。

 また、人間国宝を多数輩出するほど、陶芸作家も多く窯を開いています。そういった意味でも美濃という産地は、一つの視座や考え方にとらわれず、自由自在にものを見て、ときには考え方を変え、よりよく対処してきた積み重ねが産地の今を形成しています。たしかに「美濃で作れないものはない」。そして融通無碍、ゆえに魅力のある産地なのです。


●注釈:*1.多治見市、土岐市、瑞浪市に渡る窯元の多くはそれぞれの地区の工業組合に所属しています。他の産地の場合、基本的に一産地に一つしかないこの工業組合ですが、美濃の場合は13の組合が存在します。それは三つの市に渡る広大さと、美濃焼の多様な器づくりに由来します。參窯の三社でもカネコ小兵は「下石(おろし)工業組合」、作山窯は「駄知(だち)工業組合、深山は「瑞浪工業組合」とまちまち。他にも盃を得意とする「市之倉(いちのくら)」コーヒー碗皿が得意な「滝呂(たきろ)」、摺り鉢の「高田」、タイルの「笠原」、洋食器の「恵那」、「土岐津」「妻木」「泉」「肥田」「伝産」で構成され、器づくりの幅広さが反映されています。 

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