■器:ぎやまん陶 楕円焼物皿、■おすすめする人:カネコ小兵製陶所 伊藤社長
カネコ小兵製陶所の代表作ぎやまん陶‐Giyaman-シリーズ。ガラスの語源を冠するこのシリーズは、2008年に誕生し国内はもちろん海外のミシュランの星を得るレストランでも使われるなど大きな評価を得る器です。その器に当初よりあった楕円のうつわを、より日常の暮らしと調和するようにと約1年半前にリニューアルし誕生したのが今回の『楕円焼物皿』。幅21㎝で奥行14.5㎝。スリムな形の中で特に心を留めたのは、その盛り付け面の構造。
以前までの楕円皿の深さが約3㎝に対して、リデザインした楕円皿は深さ約2.2㎝。8㎜浅くし平らな盛り付け面を広げました。盛り付け面が広く平らになる事で料理が躍らずにピッと落ち着くようになったという伊藤社長が特にそれを感じたのが、朝食の『焼き鮭』を盛り付けた瞬間(一枚目の写真)!自らが作ったお皿ながらその姿に感動をしてしまったそうです。
元々、ぎやまん陶シリーズはその落ち着いた風合いから夕食の器という印象があったそうですが、その落ち着きは保ちつつも、朝ごはんの「今日はがんばるぞ!』という時に、この楕円焼物皿はちょうど良いのではと。もちろんブリの照り焼きでも西京焼きでも良い相性ですが、そうした意味でも焼き鮭が伊藤社長の一番のお気に入りだそうです。
現在、ぎやまん陶シリーズは『漆ブラウン』『利休グリーン』『茄子紺ブルー』『墨ブラック』の4種の釉薬で展開しており、いずれも美しい光沢で仕上がっていますが、その中でも伊藤社長おすすめの色合いが『茄子紺ブルー』。茄子紺とは夏野菜として親しまれている茄子の実のような紫味の濃い紺色のことですが、この色合いを目指したというよりは、磁器の器の伝統色である原料コバルトからなる瑠璃(るり)釉を、その風合いを大切にしながらぎやまんシリーズのもつ落ち着いた風合いに仕上げたところ生まれた色合いという事。
一見するとハレの日のような鮮やかさを持ちながら、日常の料理を盛りつけ食卓に現れると不思議としっくりと収まる。やきものの色合いとして長く食卓に在り続けた伝統色ならではの存在感です。
まだまだ話は尽きませんがしたが最後に伊藤社長より。食器を買うときに、料理のイメージができること。料理のイメージが出来ると身近になる、料理を乗せて、乗せた料理と自分のイメージが合うと、これはいい!ってなるけど、いやちょっと違うってなったときに今度違う使い方がないかしらって考える迷いがあったりする。そこで買う人と引く人がいると思うけど、そういう意味で言うと、今回の場合は魚の切り身をイメージして朝のモチベーションを上げたいときに朝食でこれ(焼物皿)が選ばれると自分はうれしい。一汁三菜、和の朝食という感じでね。(おしまい)
(取材:2020年11月28日)
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