『作り手として感じる、それぞれの窯元の凄味』‐作山窯編 ①ディティールから広がるものづくりのこだわり‐

124年ぶりに2月3日が春がはじまる日、立春となったその日に、第二回目となる三窯による座談会「三窯行えば、必ずわが師有り」をカネコ小兵製陶所ショールームにて行いました。

今回のテーマは『作り手として感じる、それぞれの窯元の凄味』

第一回では、それぞれ自社の特徴をご紹介致しましたが、今回は、他社の視点、それも自身もものづくりを行い、且つ生産地の中で様々なものづくりを見てきた窯元の視点をもってお話することで、より客観的であったり、一見普通でも、実はものづくりとしては個性的であったりする特徴が浮き彫りにしてお伝えできたら面白いなと考えています。

まずは作山窯について、カネコ小兵伊藤社長と深山松崎社長からものづくりの視点として話がはじまりました。

―カネコ小兵と深山から見る作山窯の凄味―

『一つ目:ディティールから広がるものづくりへのこだわり』

『first face:使い手に見せる表の顔、second face:作り手に見せる裏の顔』

松崎社長:作山窯さんについては、ほめてばかりで気持ち悪くなるほど言っちゃいかんと思うのですけど、そうなっちゃうんですよ。私たち深山は磁器*1を使って工業製品としての器を製造しているので、そういう上では長崎県波佐見の白山陶器さんのことをリスペクトしています。素材としての土は異なりますが、美濃における作山窯さんは、素材としては陶器*2なので、白山陶器さんとはまた違うけどそうしたリスペクト出来るメーカーの領域だと思います。ものづくりで言うと作山窯さんは和食器の作り方がベースにあって、土のバリエーションも、釉薬のバリエーションも多いし、もしかしたら焼き方、焼き位置などもかなり繊細になってるんじゃないかなと思うんですよ。深山の素材や窯の焼成プログラム*3の種類は、多少の差別はつけてますが、そう多くはなく、その素材と焼成で作れる範囲内のものづくりになっちゃうわけですよ。でも、作山窯さんの製品の品種や素材を見ると、この種類を一つの窯元で作り出すのは多分大変だと思うんですよね。そこがすごいと思います。(*1.石ものとも呼ばれる。原料中にガラス質が多く、焼きあがると白く硬くなる)(*2.土ものとも呼ばれる。原料中には粘土分が多く粘土の色により様々発色する)(*3.焼成プログラムとは焼成時の温度の上げ方を製品に合わせて調整するパターン、深山では3種類。素材はもちろん焼成プログラムを複数設定する事はそれだけ組み合わせが増えて一定の生産品質を保つことが難しくなる。)

司会:実際いろいろとバリエーションがあるんですか?

高井社長:ありますね。逆に言ったら少量多品種が売りということですね。

『雰囲気の幅:ピンク色ひとつでも、土や釉薬や焼成が異なるとその表情は大きく変わる。』

松崎社長:あと細かいとこですが、高台*4の作り方というか裏側の作り方に意識を感じて、ハマというか高台が可愛くて、裏側にも顔がある。そこがすごくいいですね。(*4.お皿の裏側にあるテーブルに接地する部分。ハマ、糸底とも呼ばれる。)

高井社長:それはうれしいですね。なかなかそこまで見てもらえない。昔からこだわっていたところなのでそこに気づいて頂けたのはうれしいです。

『ハマ(高台)とは、テーブルに接地する部分。形の良さと作業効率のいずれにも影響する大切な部分』

伊藤社長:改めてハマのこだわりを説明してほしいな。

高井社長:なんやろうね。見たときに恰好よかったらいいなと思って作ってます。まずそこですね。作山窯の器は全部この形のハマになっている。これは始めたときからずっと統一してる。なので、器によっては効率的でないこともある。ちゃんとハマがあった方が本当は作業もしやすい、ロスも減る。でもこの形にすることで、自分のデザインの統一ですよね。松崎社長が気づいてくれたのはそこですね。

伊藤社長:うちでもハマは本当に悩みます。剥がし易い*5とか製造効率とか、そっちにとらわれちゃうことがありますね。(*5.不要な釉薬を剥がし易いこと。釉薬はガラス質が多いため、テーブルに接地している面にあると焼いた時に板にくっついてしまう。そのため、その部分だけは剥がす必要があるが、せの生産効率を考える垂直に近いハマが作業をし易くなり、スタイルのような形のハマはそのまま作業するには効率が悪い。)

高井社長:このスタイルシリーズのお皿は剥がしにくいですよ。

伊藤社長:そこを撥水*6する事で、すごくハマが活きてる。土が黒いのと白いのじゃ印象が全然違う。そういうバランスがいいですよね。あと二重ハマ*7でもこれだけ落ちてないというのがええな。本当だったらハマ落ち*8しちゃう。こういうところを使い手の人たちにも見てほしいな。(*6.釉薬を塗る前に撥水剤という水をはじく溶液を施すことで、釉薬がのらない状態にする。そうする事で、一つ工程は増えるが、釉薬を剥がす必要がなくなるので、スタイルのような形状として釉薬が剥がしづらいハマでもきれいな仕上がりになる。加えて、その部分は釉薬が無いため素材の土の色が見える、特にスタイルのような黒土の器は釉薬と素材のコントラストが映える)(*7.お皿の内側にハマが2重にある事。大きな皿の場合、ハマが一重だと焼いた時に変形するため2重にする。但し、ハマの部分は他より厚みがあるため2重ハマの配置や太さが適性でないと、表面に*8ハマ落ちという凹部が生じ、見た目が悪くなる)

『裏面全体から側面の一部まで撥水する事で、釉薬が掛からないため、剥がし工程を削減し、素材としての黒土を見せる。ハマは外側と中央部にある小さい丸の二つがあり2重ハマとなっている。』

松崎社長:お店とかで食器の裏を見て*9がっかりするものもありますからね。私たち深山でも日に3000~5000個*10くらい焼こうと考えると、どうしても妥協というわけじゃないけど、剥がし易いハマにしてしまうことはあるので。作山窯さんのハマの形を統一するという事は、実は結構な決意が必要ですよね。(*9.作り手あるある。器を作っている人は良く店頭やレストランなどで裏側を見てしまう。これはロゴを見てメーカーを知りたい事もあるが、裏面にどれだけ気を配っているかでそのメーカーの真骨頂が分かる事もあるため。器の裏面を見ようとしてい方がいたら作り手かもしれません。)(*10.この生産量は美濃焼の地区では中の上くらい。後述の機械ロクロ成形のメーカーでは日に数万個作るところがあったり、逆に半分作家的な窯元では日に数十個もある。參窯の三社は美濃地区では中量生産の部類となる。ちなみにこの地区には現在でも300社以上の窯元が存在する)

(2021年2月16日掲載)

〉〉〉(作山窯その2「使い手につながる世界観の背景」に続く)


 

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