(第7話)『美濃焼産地の中の十二の産地』‐美濃焼について思うこと‐

『美濃焼について思うこと』*第6「美濃の分業制は必要か?」から続く


―(第7話)美濃焼産地の中の十二の産地(語り手:カネコ小兵 伊藤社長、作山窯 高井社長、深山 松崎社長)

 令和3年9月8日水曜日に開催された第四回座談会のテーマは『美濃焼について思うこと』の続きの座談会です。一度では語りつくすことが出来なかった美濃焼や美濃地区についても想いを、前編の余韻そのままに、さらに深く語り合いました。地域について、コピー製品について、技術について、ものづくりについて、そしてこれからについて、器を生み出すことができる窯元だからこその意義を、過去を振り返り、現在を見つめなおし、未来を想像して生まれた言葉たちです。

深山 松崎社長(以下 深山):もしかして美濃焼の中でも、カネコ小兵さんのある下石(おろし)地区*1と私たち深山のある瑞浪(みずなみ)地区から見える美濃焼の存在感って違うような気がするんですよね。

カネコ小兵 伊藤社長(以下 カネコ小兵):うん。それは土岐の肥田(ひだ)地区の窯元も言ってた。それはイメージだけでなく具体的な価格でも・・・肥田地区なら皿はいくらで、下石地区ならもう少し高くてもいいんじゃないかとね。それが出来ないような地域の風潮があるかもしれないね。ちなみに瑞浪から下石はどう見える?

●9月の座談会は場所を深山で。參窯ののれんの前で。

深山:駄知(だち)地区も下石地区も陶(すえ)地区も滝呂地区も市之倉地区あたりは分業中の分業という印象を持ちます。あの小さな盃の製造に特化していたという市之倉地区なんか本当に独特の感じがありますよね。

カネコ小兵:この資料知ってる?この資料は美濃焼産地の中の産地ということで皆さんに見てもらおうかなと思って持ってきたけど、ずいぶん前の資料で、駄知のどんぶり、肥田の皿、下石は徳利、妻木はコーヒーセットとか昔は地域ごとに特徴があったんですよ。この資料は土岐市だけですが、例えば日本酒の盃なんかは市之倉ですごく作られていたから、現在、さかずき美術館が築かれたし、下石は徳利ばかりを作ってきたなど、昔は地域的な特徴がすごくあったなと思います。移動が容易くなった今はだいぶ地域毎の違いは減ってきたけどね。

●「焼物あれこれ。各町の焼物特色」土岐市での産地とその特徴をしめす資料

深山:そうですね昔は地区毎に違いがあったんですよね。

カネコ小兵:うちが日本一の徳利メーカーだった頃の下石地区で産出された土は薄く成形出来る特性があって良いものが出来たから、その特性を生かして高級品志向で日本酒の徳利などを作っていました。その頃、隣の駄知地区の窯元から下石の土が欲しいと要望があったけど断るくらい地区毎の違いを守っていたんだよ。ちなみに、駄知地区の窯元はそれで奮起したのか駄知の土で出来るものを研究して『丼(どんぶり)』を作ったらそれが爆発的に売れて駄知はどんぶりの産地になったという話もあるくらい、地区毎の違いは大切な要素だったんだよ。

●徳利生産量日本一だった時代のカネコ小兵製陶所作業風景

司会:それは相当昔の話ですかね?

カネコ小兵:相当昔よ。土を掘るって結構大変だからね。今注目されているセラミックバレー*2の話じゃないけど、この地域に土があったから美濃焼が発展した。とすると地域ごとに取れた土によってこういう特色が出来た。当初は運搬が大変だったしね。その後、電車の駅が下石にできて輸送が落ち着いたとか。そんな話もあったり紐解くと産地で歴史がいろいろあるみたいだね。2021年11月12日掲載)⇒第四回座談会「(第8話)コピーの元凶は窯元?問屋?(仮)」に続く・・・*次回11月19日掲載予定(毎週金曜掲載)


脚注:*1.掲題の美濃焼の中にある十二の産地に該当する一つの地区。多治見市に「高田」「市之倉」「滝呂」「笠原」、土岐市に「下石」「駄知」「妻木」「肥田」「泉」「土岐津」、瑞浪市に「瑞浪」「陶」の全12か所。この十二か所は産業としてやきものを作る窯元による工業組合を単位としており、例えば下石地区にあるのは下石陶磁器工業組合となる。つまりこの十二の産地はあくまで産業ベースで分類した場合の産地数。産業は素材獲得や技術集約の効率性もあり地区毎に集結するため、地区毎の特性が顕著になった。美濃焼には産業以外にも陶芸家などの作家性の強い食器づくりもあるが、その場合はあまり地区毎での特性は見られない。*2.セラミックバレーとは2020年より開始された地域の有志による美濃焼の更なる発信のプロジェクト。素材となる土や燃料となる薪などやきものをかたち作る様々な要素が豊かなこの岐阜県東部の美濃地区を“セラミックバレー”と名付け、完成品としての製品だけでなく、その周辺も包括しやきものの多面的な魅力を伝えます。https://ceramicvalley.jp/ 


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