(第1話)かかわりの始まり

ある日、久しぶりに深山の柴田さんから電話をもらった。

数年前、岐阜のものづくりについて文章を書く機会に恵まれ、その際に「美濃焼」についてメーカーで商品開発の立場で長年ものづくりに携わり、ご自身の実家も窯元であったため、地域の歴史や成り立ちにも明るい柴田さんに相談に乗ってもらって以来、色々とお世話になっている。

その柴田さんが、「美濃焼をもっと知ってもらうことで、ものづくりの価値を向上させたいんです、尊敬できる二つの窯元と一緒に」と。

それから2ヶ月後、現地に赴き、それぞれの窯元を訪問し、お話を伺った。

すでに各社ごとに、webはもちろん、直販体制も整っていて、SNSも抜かりなく手掛け、発信の面からもファン作りができる体制も整っている。事前に自分が提案として持ち込んだ3社の商品をまとめたコーディネートが必要ではないことだけは、あっさり明らかになった。

それよりも、3社が集まっての対話が面白く、馴れ合いではなく、お互いのものづくりを認め、尊重していることが強く感じられた。また、自社のものづくりにおいても、たまたま活路が拓けたことや、思い入れが強い商品など、市場には披露されていない話がたくさんあるということもわかった。

それならば、3社のことを伝える「場」を用意してそこに様々な想いを、飾り気なく詰め込んでいこうと、まずは社長たちの思いから。そして徐々にベテランから新人まで、いろんな立場からの話が集まって、美濃のものづくりの本当が、良いことも問題点も見えてくるんじゃないかと思っています。

なにはともあれこうして始まった「參窯」の動き。

馴れ合いではなく、尊重し合える3つの窯元それぞれが話す言葉は、多少専門的になることもありますが、日常使いの器に込められた技術と時間といろんな話を少し聞いてみてください。

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