『作り手として感じる、それぞれの窯元の凄味』‐作山窯編④やきものらしい色合いの表現‐

『作り手として感じる、それぞれの窯元の凄味』作山窯編三つ目:水ゴテ成形による陶器としての形づくりの続き


―カネコ小兵と深山から見る作山窯の凄味―(語り手:カネコ小兵・伊藤社長と深山・松崎社長、受け手:作山窯・高井社長)

『四つ目:やきものらしい色合いの表現』

『カラフルであるけれども、やきものらしい情緒をまとう作山窯のうつわ』

伊藤社長:釉薬*21の種類も多いもんな。どのぐらいあるの?(*21.釉薬(ゆうやく)と読む。水の中に細かく粉砕した原料や顔料、ガラス質を加えたもの。器の表面にコーティングし1200度以上で焼き上げるとガラス質や原料や顔料が溶けて、やきものらしい色合いや風合いが生まれる。。コーティング方法は800度程度で素焼きをし吸水性を高めた状態の器を、釉薬に浸し水分と共に吸い上げ付着させ行われ、施釉(せゆう)や釉掛け(ゆうがけ)と呼ばれる。)

高井社長:どうやろ、使ってないのもあるけど100種類くらい。

伊藤社長:釉薬の度数*22もみんな違うやろし。*22.釉薬中の原料と水分との比重や、原料自体の粘り気を数値で表したもの。釉薬に含まれる原料により最適値が異なる。更に保管してある釉薬からは水分が蒸発していく為、使う時に水などを加えて都度最適値にもどす必要がある。最適値は場合によっては同じ釉薬でも器の形によっても異なる事もあり、やきものの生産工程の中でも釉薬の管理はかなり難易度が高い。そのため自社オリジナル釉薬の開発には二の足を踏みがちで100種類のオリジナル釉薬は驚きの種類)

司会:失敗とかあるんですか?

高井社長:めちゃくちゃあります。多いのは焼きムラ*23とか。*23.器の色ムラのことだが、実際には焼成により生じるため焼きムラと表現される。釉薬に含まれるガラス質などは焼成時に溶けて流れるが、器に付着した釉薬の厚みや窯中の温度高低差などはどうしても一定にできないので、その個体差が釉薬の溶け具合の違いとなり焼きムラが発生する。)

『窯に入る台車に積まれた焼く前の器たち。様々な色や形の器が並ぶ』

伊藤社長:焼きムラを安定させようと思うと、あまりにもシンプルで面白みが少ない釉薬になったりして、ある程度変化があった方がいいと思うんですけどね。でも、あまりにやりすぎると不良になっちゃって、その加減が難しいよな。

司会:僕は、普段、開発しようとするとどうしても安全な方*24行っちゃいます。作山窯さんは難しくてリスクが高いもの*25をあえて継続されているのは、何か最初に想いがあったのでしょうか?(*24.焼きムラは、*23に記載の理由で根本的な解決が難しく、管理に手間がかかるため、深山も含む多くの窯元では焼きムラが生じにくい安定した釉薬を多く使用する。ただ安定した釉薬とはガラス質などが少ないものとなり、結果、釉薬の濃淡や変化の少ないやきものとしての面白味は少なくなる。)(*25.作山窯に焼きムラが多いのは、やきものとしての面白味を重視して、そうした管理の難しく、不良品のリスクが高い釉薬を積極的に使っているという意味)

高井社長:そうした作り易いものやコピー製品が色んな窯元でたくさん作られてるんだけど、その人たちと差別化を図らないといけないと思っています。やっぱりコピーとは違う、本物の良さっていうのを作山窯は作らないといけないと。コピーした商品と同じものを作ればうちの価値がないと思うし。使う方も、(一時は価格で安い方を買っても最後には)戻ってくる人は戻ってくるし。

司会:実は、(參窯のオンラインストアoutstanding products storeを担当するミヤマプランニングは陶器の製品*26を)初めて扱ったのでちょっとドキドキしているところはあったんです。ただ、そこで最初に買われた人の「すごくかわいい」というコメントがSNSにアップしてあって、ホッとしたと同時にちゃんと理解してくれているんだなと思いました。(*26.下画像のスタイルシリーズのこと。陶器の素材である黒土で出来た器に、流れやすいピンク色の釉薬を施すことで、口元など釉薬が流れやすい場所は、素材の黒土の色合いが表出している。決して口元に黒い色を塗ったわけではなく、焼いた時に釉薬が流れて現れる表情がやきものらしい色合いの表現に通じる。)

outstanding products storeで詳細しているスタイルシリーズ。お皿やカップのフチに素材の色が表出している。』

伊藤社長:カネコ小兵も深山も素材は磁器をやっとるけど、作山窯はいろんな種類の陶器の土があって、それぞれの土の特製があって、加えて、さっきの釉薬の比重の話もあって。彼(高井社長)がすごいのは本物を求めているというところかな。本物とは何かっていうと、まず自然の恵みとして土があって、その良さをどう表現したら伝わるだろうっていうところの、そこへのこだわりが相当あると感じる。売りたいだけだったらこうはならないと思うんですよね。作りたいものに対するこだわりがあって妥協することがないですよね。

松崎社長:なので、結果として素材としての土の良さと焼きあがった製品の良さにブレがないというか、ギャップがないというか。土の良さがきちんと焼きあがっていますよね。

高井社長:土はやっぱりね。今使ってる土でもちゃんと使えるようになるまでに4,5年はかかりますよね。特に土ものは原料が変わっただとか、ブレがめちゃくちゃ大きいです。土屋さん*27が徐々に原料を調整されているので、3年前のものと比べたら知らないうちに「こんなに色が変わってたの」っていうことはありますね。あとは、釉薬が原因で変わるともありますね。だからいろんな色がそうだと思えばいろんな原料を扱わないといけない分リスクは大きいですよね。(*27.製土メーカーの事。人名ではありません。各窯元の要望に合わせて原料を調合し土を作ってくれます。美濃焼の一つの特徴は、この製土メーカーの存在と、それに使われる多様な原料が産出されたこと。原料を調合し、様々な風合いの土を作れたため、陶器、磁器、洋食器、和食器、作家もの、窯元もの、量産もの、超量産もの、タイルなど幅広いやきものの製造が可能となった)(2021年2月25日掲載)

*『作り手として感じる、それぞれの窯元の凄味』作山窯編は今回までとなります。三窯の中で唯一、陶器を素材とする作山窯は、その素材の特性から生まれるやきものならでは表現を、工業的なものづくりを求められてきた産業の中で貫いてきた、その背景が「想い」「形」「作り方」「色合い」というテーマのもとに語られた全4回となりました。下記にそれぞれへのリンクをまとめましたので、改めてご覧頂ければ幸いです。次回からは深山編がはじまります。

  1. ディテールから広がるものづくりのこだわり
  2. 作り手につながる世界観の背景
  3. 水ゴテ成形による陶器としての形づくり
  4. やきものらしい色合いの表現

〉〉〉(深山その1「銅版転写下絵付け技法の精度」に続く)


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