-三つの窯元に”七つの質問”- 美濃焼産地で時代を意識しながらも自らのものづくりを全うするカネコ小兵、作山窯、深山の三つの窯元。その内なる想いを露わにするため、それぞれの代表に七つの質問を致しました。二つの質問には必ずお答え頂き、残りの五つは自由回答としてお話を伺いました。他社のスタッフがインタビュアーとなり、どの質問にどうお答え頂けるか?それぞれの窯元を想いをご覧ください。
-窯元情報-
・有限会社作山窯 https://www.sakuzan.co.jp/
・1987年(昭和62年)に作山窯を設立し2022年に創業35年を迎えた。
・創業者となる高井社長は設立年より現在まで代表職を担う。
・「美味しさを、美しさから」との想いのもと暮らしの楽しみとなる器づくりを行う。
・13種類の土とそれに調和する多様な釉薬と焼成方法。創業当時から手掛けられた数々のオリジナル製品。道具としての精度の高さややきものとしての完成度は大切にしつつも、拘泥することなく暮らしと調和する器を生み出す窯元。
■その他質問について(前編)(語り手:作山窯 高井社長、聞き手:深山 柴田)
問③『気になる自社製品は?またその理由は?』
問④『これから先も“やきもの”に生き残る可能性はあるか?』
問⑤『 “産地としての特性”と“窯元としての個性”。どちらが大切か?』
問⑥『スタッフとして一緒に働きたいのはどんな人?スタッフから刺激を受けた事は?』
問⑦『顧客やユーザーからのハッとした気づきはありますか?』
–前回までで『作山窯として欠かせないもの』と『高井社長の記憶に残る出来事』の二つの質問を伺いましたが、他にも色々ご質問用意したのですがどれか気になる質問はありますか?個人的には質問⑤『“産地としての特性”と“窯元としての個性”どちらが大切か?』は伺いたいのですが。-
もうこれはそもそも論なんだけど、美濃焼の産地の特徴を無理に決めなくても良いし、美濃焼にとって産地の特徴が何か?なんて意味の無い事じゃないかな。それぞれ異なる個性のある窯元が沢山集っている場所。それが美濃焼産地って事の方が良いと思う。それだけですよ。
–そうですね地域のものづくりの事実をそのまま伝える方が明快ですね。では、少し関連すると思うんですが質問④『これから先も“やきもの”に生き残る可能性はあるか?』はいかがでしょうか?–
うーん。“やきもの”が無くなるという事はありえないから、広い意味では生き残ると思うけど、やきものの中でも“食器という道具”が存在する事が難しい時代は確実に近づいていると思っています。それは、より便利な代替品と言う意味と、環境との関りと言う二つの点からです。例えば、器のいらないレトルトパックがあるよね。パックの中でかき混ぜてそのまま食べるみたいな。良い悪いじゃなくて、その方が食べるのが便利だし、温める時にラップも使わないから環境にもPRできるしね。
–確かに食器の使用は減ってますね。昔は安かったこともあるけど食器は生活必需品で、そして消耗品だった印象です。翻って現在は、これは良い側面もありますが、個人の好みが反映された趣向品に近づいたから自然に使用量は減ってますよね。その趣向品という扱いが進めば環境意識にもつながりますね。-
実際に、総量がどの程度あるか?という点だったら、きっと他の産業と比較すると大した量ではないかもしれない。でも、生活との距離感は近いし、明らかに焼かないと作れない産業だから見た目は環境に良くないように見えるでしょ。ものを焼くって事はつまりは二酸化炭素を排出してるわけだから。かと言って、少しでも排出量を削減するためにという事で、温度を低くして焼けば土はきちんと焼き締まらないから破損し易くなるし、汚れやすくなる…、生活用品として不便なものになっちゃうよね。
では、そうした事が可能な素材が開発されるかって言うと、原料屋さんだって、これだけ使用量が減っている産業に向けて、新たに低温で焼き締まるような土を開発してくれないだろうしね。
だから“やきもの”は無くなりはしないけど、大きくはなる事は無いし、どれくらいの減少で抑えられるのかって話だと思う。原料や燃料のコストだって、これからも上がっていくだろうしね。産業の将来としては怖いよね。次の記事につづく(2023年6月23日掲載)*毎週金曜掲載
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■(問一)それぞれにとって欠かせないものは何ですか?への回答
「カネコ小兵にとって欠かせないものは何ですか?」
「作山窯にとって欠かせないものは何ですか?」
「深山にとって欠かすことができないものは何ですか?」
■(問二)へのそれぞれの窯元 の答えはコチラ
「伊藤社長(カネコ小兵)の記憶に残る出来事は何ですか?」
「高井社長(作山窯)の記憶に残る出来事は何ですか?」
「松崎社長(深山)の記憶に残る出来事は何ですか?」
■(その他の質問/最終話)へのそれぞれの窯元 の答えはコチラ
「カネコ小兵/前編-”産地の特性”と”窯元の個性”大切なのはどちら?-ほか」
「カネコ小兵/後編(最終話)-一緒に働きたいのはどんな人?-ほか」
「作山窯/前編-これからのやきものの生き残る可能性は?-ほか」
「作山窯/後編(最終話)-一緒に働いてみたいのはどんな人?-ほか」
「深山/前編-気になる自社製品は?その理由は?-他」
「深山/後編(最終話)-”産地の特性”と”窯元の個性”大切なのはどちら?-他」
■過去の座談会記事一覧
〉〉〉第六回座談会『他産地、他素材のものづくりに触れて-日進木工(高山市)-』アーカイブはこちらから
〉〉〉第五回座談会『野口さんとふりかえる2021年』アーカイブはこちらから
〉〉〉第四回座談会『美濃焼について思うこと』アーカイブはこちらから
〉〉〉第三回座談会『作り手の大切な器、我が家の食卓』アーカイブはこちらから
〉〉〉第二回座談会『作り手として感じる、それぞれの窯元の凄味』アーカイブはこちらから
・・・・・各窯元ウェブサイト・・・・・
參窯その1:カネコ小兵製陶所(岐阜県土岐市下石町)https://www.ko-hyo.com/
參窯その2:作山窯(岐阜県土岐市駄知町)http://www.sakuzan.co.jp/
參窯その3:深山(岐阜県瑞浪市稲津町)http://www.miyama-web.co.jp/
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